四十路にて踏み出したるラーメンの道。
女一人、ラーメンを希求する熱き行列に参戦する勇気が出せずに日は過ぎて、ブログも三日坊主にさえならずに放置、2019年もあと僅か。
これはいかんと奮い立つ、霜月も23日目。
いざやいざや~。
と、言うことで。
やって来たのはじんじんぼーぼー神保町♪
「ひととよう」と読むこのお店、11月6日のニューオープン。
羊肉のラーメンなんてめっちゃ珍しいです。しかもお高くてなかなか買えませんがラム肉は特有の匂いも含めて大好きな私、折角なので記念すべきお一人様ラーメン一店目はこちらに突撃ー!
手書きのメニュー。食券機はこれから導入予定、現在現金後払い制です。
おお!胡椒挽きがなんかメタリック!何だこれは!
とか何とかしているうちに来たー!
ひつじそば(1,350円)+トッピング野菜の焼きびたし(200円)です。
こちらと羊中華は細麺で伸びやすい為大盛り不可、替え玉(100円)対応だそうな。
さてさて初めましての羊ラーメン。
いただきます。
ぱくり。
!!!
こ、これは!
清々しい程に透き通る純粋な羊のエキス。
全身全細胞に染み渡る潤潤しいスープが脳髄までをも痺れさせて行きます。
美味し…。
公式ツイートによると、「ラムのゲンコツと鶏ガラ、丸鶏などを強火で炊いた白湯を取り、さらにラムと鶏挽き肉で澄ませたコンソメの手法で作ります」とのこと。無化学調味料、豚不使用だそうです。ゲンコツって何だろう…。
クミンシードも目視出来ますが、どちらかと言うと香草系な感じもします。
そのスープに溺れる理性を覚醒させて、まずは大好きなパクチーを。
ああ、ああ、良いです、合いますねぇ。
間違いの無い味ですねぇ。
このスープ、寸胴ごとでも行けますねぇ。
そんなこちらの麺を掬えば
内に見える全粒粉。細いながら粉の甘味が有りポソリと若干の粉っぽさとサクサクとした歯切れの良さ。
ウェーブは弱めなのでスープの水捌けは良く、あくまで麺そのものの味の輪郭は保ちつつ、スープの匂い立つ風味が常に纏わり、絡みの弱さを感じさせません。
歯応えを残すモロッコインゲンとローストプチトマト、スライスされた紫玉ねぎは、それ自体の持つイメージからして羊肉とベストマッチ。齧れば野菜の青味が最高の口直しに。
羊のテリーヌはまさにジビエらしい肉肉しさ。トマトやオクラの彩りと、香辛料の複雑な味わいが堂々たるインパクト。
肩ロースは低温加熱で、チャーシューではなくハムっぽく、しっとりと肉の甘さが口いっぱいに広がります。これ塊で食い契りたい…。
トッピングの野菜の焼きびたしも厚肉のどんこ椎茸がぷりぷりと歯肉を刺激し、種がしっかり辛い万願寺唐辛子は齧る程に鼻腔を抜けるピーマン臭が食欲を増進、噛み応えの有る茄子は甘い果汁を滴らせます。
どの野菜も含んで溢れる宗田節出汁の旨味が慈味慈味と舌を潤します。
あっさり目なことも有りかなりボリューム控え目。麺の量は140gと言うことですが、一般的な一人前ってどのくらいなのでしょう。
と、言うことで2杯目行きます。
羊中華(850円)+トッピング野菜の焼きびたしです。
おやおや丼も中華風になりましたね。
こちら説明書きを読めば羊出汁にサバ煮干し…サバ煮干し?!
鰯の煮干しなら知っていますがサバ煮干しって凄いな…。
さてひつじそばと何がどんだけ違うのか?
ぱくり。
!!!
ぐはぁっ!
押し寄せる旨味の Big Wave!
後から後からBig Wave!!
サバの濃厚な旨味もガツンと来る醤油スープ。
重層的な旨味が力強く立ち昇り意識をまるごと持って行かれてクラクラします。
あぁこのスープも寸胴ごとでも(以下略)。
トッピングは上品な水菜に甘い細インゲン、みじん切りの紫玉ねぎ。羊そぼろにラムチキンロール。
羊そぼろは味自体はかなり淡白で薄味です。あくまでスープと味わうトッピング。が、それは味が足りないとか言うものではなく、あくまで肉の密密しさを維持する吟醸のような羊そぼろ。
ラムチキンロールは鶏もも肉で羊挽き肉を巻き込んだものですが、スーッと清涼感の有る生姜と葡萄山椒の隠し味。同じ挽き肉系でもテリーヌよりあっさりで肉肉しさも弱め。どちらかと言うと鶏肉のシコシコとした歯応えと味が優勢です。
ここまで来たらの3杯目。
おお!なんか味噌ラーメンらしくない!(笑)
生の春菊と、丼、ラーメンの赤の焼き付くような色彩的コントラスト。
味噌ひつじ(900円)+大盛り(50円)。野菜の焼きびたしがこの時点で売り切れでした…。
こちらは麺が太く伸びにくい為大盛り可。しかもレギュラーサイズで麺の量は160g、大盛りで260g。この50円はかなりお得。
成程、クリックリに捩れた絡みの良い太麺、ただ弾力と言うよりは固さが有る感じ。加水率高めなのかツルンとした舌触り、が、その為か麺の旨味が薄く個人的にはもっと麺自体の力強さが欲しいところ。
見て下さい、このジュクジュクに脂にまみれた、人参、ごぼう、紫玉ねぎ。野菜の甘味が堪りません。
羊の脂って、一昔前までは臭みの原因なんて言われていましたが、この、スープと同化するほどにたっぷりの脂は全く臭みが無く熱く蕩けて喉越し良いです。
味噌は麦味噌、独特のひなびた芳ばしい麹と豆の甘味は羊の香りを押し上げて、味噌ラーメンと言うには少々味噌感は弱めですが全体的な味のバランスは◎。
説明書きに有るように、こちらが味も脂肪も一番強く、塩味も喉にツキンと来ます。
これはやはりライスを投入したくなりますが、こちらのお店は味付きご飯のみ。
個人的にはこれ、玄米みたいなガチなライス投入で、更に追い一味したいヤツですね。
羊そぼろは羊中華と同じ。ドロドロ感と糸唐辛子のピリピリ、クミン等の香辛料も効いている為ちょっとカレーっぽくもあるジャンクな味わいに無我夢中で麺をすすります。
途中で使い忘れていた胡椒も参入、使い方が分からなくてマゴマゴしました。
これ、回すんじゃなくて押すんですねぇ。
ちょっと出にくいけど面白いですねぇ。
いやいや気付けばコンプリート。本当にどれも美味しかった!
特にひつじそばのスープは衝撃的な逸品です。
清潔感が有り店員さんの物腰も柔らかく、一つ一つ野菜の扱いに至るまで丁寧な仕事振り。
御夫婦のお客さんが多いのも頷ける、気持ちの良いお店でした。
エエイ~アアキミからモライナ~キ♪
鼻唄混じりに帰路に着けば、羊雲の揺蕩う大空に心まで吸い込まれて行きそうです。
ごちそうさまでした。